「車検が切れてしまった車があるけれど、整備工場までどうやって移動させればいいのだろう?」
そうお悩みの方は多いでしょう。結論から申し上げると、車検切れの車をそのまま公道で運転することは、法律で厳しく禁じられた「無車検運行」という非常に重い違反です。
この記事では、車検切れの車を動かす際に絶対に知っておくべき危険性、合法的な移動手段、そして万が一運転してしまった場合の罰則について、詳しく解説します。
1. 🛑 なぜ車検切れの車の運転は「重罪」なのか?
車検切れの車を公道で運転することは、単なる手続きの違反ではありません。道路運送車両法に違反する行為であり、運転者と**車の使用者(所有者)**の双方に重い罰則が科されます。
運転した場合の罰則(行政処分・刑事罰)
車検切れの車を運転する「無車検運行」は、非常に重い違反と見なされます。
• 違反点数: 6点
• 行政処分: 30日間の免許停止(前歴がない場合でも一発で免停となります)
• 刑事罰: 6ヶ月以下の懲役 または 30万円以下の罰金
さらに自賠責保険も切れていた場合(最も危険な状態)
多くの場合、車検が切れている車は自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)も同時に切れています。この「無車検運行」と「無保険運行」が重なると、罰則はさらに加重されます。
• 行政処分: 90日間の免許停止
• 刑事罰: 1年6ヶ月以下の懲役 または 80万円以下の罰金
事故を起こした場合の深刻なリスク
車検切れの車で万が一事故を起こしてしまうと、法的な罰則が加重されるだけでなく、経済的にも破綻の危機に瀕します。
1. 損害賠償の全額自己負担: 任意保険の約款では、車検切れの車は補償対象外(免責)とされるケースがほとんどです。また、自賠責保険も切れていれば、対人賠償も含めて賠償金の全てを運転者自身が自己負担しなければなりません。人身事故の場合、賠償額は億単位になることもあります。
2. 罰則の加重: 道路交通法違反や過失運転致死傷罪など、事故による罪が追加され、免許取消しや懲役刑に発展する可能性が高まります。
2. ✅ 合法的に車を移動させるための3つの方法
車検切れの車を整備工場などへ移動させる必要がある場合は、以下のいずれかの合法的な手段を必ず利用してください。
① 仮ナンバー(臨時運行許可番号標)を取得する
仮ナンバーを取得すれば、車検を受けるための移動など、特定の目的に限り、一時的に公道を走行できます。
• 手続き:運行経路が含まれる市区町村の役所(役場)で申請します。
• 期間:許可されるのは最長5日間であり、必要最小限の日数しか認められません。
• 注意:運行後は5日以内にナンバーと許可証を返納する義務があります。
② 積載車(キャリアカー)で運ぶ
車検業者や陸送業者に依頼し、車を積載車に載せて運んでもらう方法です。
• メリット:車が公道を走行しないため、仮ナンバーの取得は不要です。最も安全で確実な方法です。
③ レッカー車で移動する
レッカー移動を依頼する方法もありますが、車輪が接地して走行する場合、「無車検運行」と見なされるリスクがあるため、事前に業者に車検切れであることを伝え、対応可能か確認が必要です。
3. 📝 仮ナンバーを借りる際の最重要注意点
最も現実的な移動手段である仮ナンバーを取得する際は、特に以下の点に注意が必要です。
【最重要】運行期間中の自賠責保険が必須
仮ナンバーを申請する際、運行期間中に有効な自賠責保険証明書の原本の提示が必須です。車検が切れているなら、まずは自賠責保険に再加入しなければなりません。
申請書類と窓口
• 申請書類:有効な自賠責保険証明書(原本)、車検証の原本または抹消登録証明書、申請者の本人確認書類などが必要です。
• 申請窓口:運行経路(出発地・目的地)が含まれる市区町村の役所です。
• 申請タイミング:原則として、運行する日の当日または前日にのみ申請が可能です。
厳守すべきルール
• 目的・経路・期間の厳守:許可された**「車検を受けるため」という目的、申請した経路**、最長5日間という期間を絶対に守らなければなりません。許可内容に反した運行は、無車検運行と見なされます。
• 許可証の表示と携帯:運行中は、交付された**「臨時運行許可証」を見やすい位置に表示**し、自賠責保険証明書を必ず携帯してください。
最後に
車検切れの車を動かす際の注意点について、ご理解いただけたでしょうか。**「少しだけだから」**という安易な判断が、取り返しのつかない重い罰則や経済的負担につながります。
車検切れの車は、絶対に公道で運転せず、必ず「仮ナンバーの取得」や「積載車での移動」といった合法的な手段で移動させてください。安全で合法的なカーライフを送りましょう。
























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