中古車ビジネスで安定した利益を確保するには、車両本体価格の値引き競争から距離を置くことが不可欠です。そのための最重要収益源こそが、中古車保証です。
保証加入率を上げることは、単に付帯収益(F&I)を増やすだけでなく、お客様の安心感を高め、将来的なリピート購入やサービス入庫を確実にするための先行指標となります。
ここでは、「保証加入率」を最重要KPIとして徹底的に管理・向上させるための具体的な手法を展開します。
1. KGIとKPIの連動性を確立する
まず、目標を明確にします。私たちのKGIは「中古車部門の営業利益最大化」です。
この目標を達成するための最重要成功要因(CSF)は、「お客様の不安を解消し、安心という付加価値を提供する仕組みの構築」です。
そして、このCSFの達成度合いを測るのがKPI、「中古車保証加入率」です。目標値を明確に設定しましょう。現状の加入率(例:40%)から、まずは**60%**を目指すといった具体的な数値目標が必要です。
2. 「保証は保険」という価値訴求を標準化する
加入率が低い主な原因は、お客様が保証を「単なる追加費用」と認識していることにあります。この認識を変えるための提案手法を標準化します。
• リスクの可視化: 営業担当者は、販売車両の年式や走行距離がもたらす「故障リスク」をデータに基づいて具体的に示します。保証がない場合の修理費用や、故障による時間的な損失を具体的に伝え、「保証は将来の大きな出費からご自身を守るための保険である」と位置づけます。
• 松竹梅のプラン展開: 一律の保証ではなく、期間や対象部品の範囲に応じて、**ベーシック(梅)、スタンダード(竹)、プレミアム(松)**の3つのプランを用意します。これにより、お客様の予算やニーズに応じた選択肢を提供し、「竹」のスタンダードプランへの誘導を強化します。
• 標準装備としての提案: 見積もりを提示する際、保証費用をオプションではなく、**「安心セット」**として標準の見積もりに含めて提示します。お客様から「外してほしい」という要望がない限り、保証付きでの購入を前提とするプロセスを徹底します。
3. 現場の提案スキルとプロセスを強化する
KPIを達成するためには、営業担当者のスキルアップと仕組み化が不可欠です。
• ロールプレイングの実施: クロージング(契約成立)の直前に、保証提案を断られたケースを想定したロールプレイングを定期的に実施します。特に、価格交渉で疲弊した状態でも、保証の価値を崩さず提案しきるためのトークスクリプトを磨きます。
• 成功事例の共有: 保証加入率の高い担当者の成功事例や、お客様が特に納得した理由を詳細に共有します。成功した提案の**「いつ」「何を」「どのように」**伝えたかを分析し、チーム全体のスキル向上につなげます。
• インセンティブ設計: 保証加入のインセンティブを、車両本体の販売マージンとは別に、独立した高い報酬率で設定します。これにより、営業担当者が保証提案に優先的に注力する動機付けを行います。
4. KPIの継続的な測定とフィードバック
KPIマネジメントの要は、測定と改善のサイクルを回すことです。
• デイリー測定: サービスフロントや営業マネージャーは、日々の販売台数と保証加入台数を記録し、リアルタイムで加入率を把握します。
• ウィークリー分析: 週次ミーティングで、チームと個人の加入率を公開し、目標とのギャップを分析します。目標に届かない担当者には、具体的なフィードバックやトレーニングを実施します。
• 改善行動の実行: 分析結果に基づき、「保証パンフレットのデザイン変更」「特定の車両への保証適用期間の延長」など、具体的な改善行動を即座に実行に移します。
「中古車保証加入率」というKPIに全社で集中することで、お客様に安心を提供すると同時に、貴社の利益構造を強固なものへと変革することができます。





















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