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国内自動車市場の縮小が止まらない状況でトヨタ自動車が全店舗で全車種を2025年に取扱いを始めると発表したのが2018年のことであった。
7年間かけて徐々に準備をしていき、店舗数を減らしながら全車種販売を導入する予定ではあった。
しかし先行して2018年4月より全車種販売を始めた東京地区の成功をみた各販売店側より時期を早めて欲しいとの要望が多くあり2020年4月より全国展開をしていくこととなった。
東京地区はトヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店と4チャネルを合併してトヨタモビリティ東京という新販売会社を立ち上げた。もともと東京地区のトヨタ販売店はトヨタ自動車直営店舗という特殊な事情があったのでスムーズに事が進んだ。
ほとんどの地域では地場の名門企業がトヨタ販売店を経営していることが多い。もちろんその中にはトヨタ自動車よりも歴史のある会社も数多くある。
その中で例えばトヨタ店とトヨペット店を経営している会社は地元では永らくライバル関係にある。
その2社が手を取り合って販売店店舗を合併することは2020年という準備期間では難しいのではないだろうか。
トヨタのお店で全ての車種を買うことができるということは短期的にみれば販売する側も購入する側も非常にメリットが多い。
販売する側にしてみれば売れ筋のクルマを買ってもらうチャンスが増え、買う側にしてもいつものお店で本当に欲しいクルマが買える。
メリットしかないのだが本当にそうだろうか?
しかし、長期的にみればデメリットの方が多くなりそうだ。
まずひとつは値引き合戦が繰り広げられて短期的には値引き拡大により購入者が得をする。しかし体力にない小さな販売店やあまり売れない地方の店舗などは利益幅が少なくなって店舗を撤退するところが続出するだろう。店舗数が減れば当然ディーラー社員のリストラが始まり、担当営業マンが辞めてしまう事もあるだろう。
店舗撤退がひと段落すると今度は値引き引き締めにより利益確保に走る。いつも点検でお世話になっている店舗が生き残ればいいのだが、生存競争に負けてしまった店舗なら遠くの他の店舗へと移管されてしまう。
値引きが減ってメンテナンス先が遠くなるということが起こりうるのだ。