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フロアマットにアクセルペダルが引っかかって、暴走してしまう事故に対処する安全機能としてBOS(ブレーキオーバーライドシステム)がトヨタ車に採用されたのは2010年だ。
ひとことで言えばブレーキとアクセルを同時に踏み込んだ場合にブレーキを優先させる安全機能だ。
北米でレクサス車が暴走をしたとして大規模なリコールを実施したことに対する対応であった。
アクセルとブレーキを同時に踏んでしまった場合、以前のクルマではアクセル開度に対してブレーキの深度で自動車を制御しようとしていた。
しかしBOSが採用されたクルマではフューエルカットをしてエンジンに燃料が供給されないようになり、ブレーキの制動力にプラスしてエンジン制御をコンピュータが行うこととなった。
ブレーキオーバーライドシステムが付いているかは取扱説明書を見ればわかる。
もしわからなければ走行中にアクセルペダルとブレーキペダルを同時に踏んでみればわかる。このような警告灯がつけばBOSが付いている筈だ。
ニュースで痛ましい事故の映像をみることがある。高齢者が歩道を暴走して歩行者をひいてしまった事故が毎年のように起こる。
いわゆるプリウスアタックと揶揄されているプリウスによる死傷事故だ。プリウスだけがアクセルが戻らないことなどあるのだろうか?
何故プリウスだけがこんなにもアクセルとブレーキを踏み間違える事故が多発しているのか?
ただ単に販売台数が他のクルマに比べてケタ違いに多いからに他ならない。
シフトレバーの配置が原因という人もいるが、日産リーフのeパワーのシフトレバーも同じような配置だ。
口を揃えて『ブレーキを踏んだのだがどんどん加速していった‥』や『アクセルを離したのに戻らなかった』などと言う。
新型プリウスを始めとするブレーキオーバーライドシステムが装備されているクルマではアクセルがフロアマットに引っかかって戻らない状態でもブレーキさえ踏めば必ず減速してクルマは停まる。
ほとんどの場合はアクセルとブレーキの踏み間違いによって引き起こされている事故といっていいだろう。
今やほとんどの自動車に標準装備されている自動ブレーキ。
しかし令和の時代になっても歩行者へのブレーキが効く自動ブレーキはまだまだ設定車種が限られている。
前方を走行する自動車へは画像認識によって警告音とブレーキ制御が行われる。
歩行者や自転車には画像認識により警告音のみの車種が多い。
一部上級車種や最新の自動ブレーキ搭載車は歩行者や自転車にも衝突の危険があると判断したらブレーキが作動する。
しかしここにもまだ落とし穴が。
歩行者や自転車に反応するのはひとりで歩いている人や一人で道路を横切る人のみだ。
複数人で歩いていたり、列になって歩いている小学生たちには反応しない。
これからどんどん性能がアップしていけばいろいろなシチュエーションでの制御も可能となるので技術の進歩に期待するしかない。
実際にアクセルペダルが踏み込まれた状態のまま戻らないということは、外的要因以外にはほぼ起こらない。
外的要因というのはフロアマットがアクセルペダルに引っかかっている状態である。
メーカー純正のフロアマットを取扱説明書通りに取り付けて、取扱説明書通りに取り扱い、定期的に取り付け状態の点検を欠かさなければ、まずフロアマットがアクセルペダルに引っかかることは無い!
しかし、アクセルペダルが戻らないという事故は年間で数件は発生している。
そのほとんどは純正のフロアマットの上に、社外品のゴムマットを二枚敷きにしてあるか、純正のフロアマットの固定金具が破損や取り付け不良によりフロアマット自体がズレていることにより起こる。
2010年以前のクルマではフロアマットの取り付け金具が純正部品であるフロアマット側に同梱されていた。
2010年以降では車両側に標準装備されている。フロアマットを取り付けなくても金具だけが自動車の床に取り付けられている。
これによりフロアマットがズレを起こす件数が劇的に減った。
しかしフロアマットの上にゴムマットを敷いている人の数はなかなか減らない。寒冷地の地域や未舗装道路が多い地方ではカーペット製の純正のフロアマットよりも、縁高タイプのゴムマットの方が需要が高い。
その場合でも純正のフロアマットを外して、ゴムマットを固定して取り付けないと大変危険だ。