高天原にイザナギとイザナミの夫婦神がいた。不安定だった地上世界にオノゴロ島をつくりそこに降り立った2人はまずは淡路島をつくり、その後日本列島を形づくる島々を作り出していった。
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イザナギは体に飛び出たところがあり、イザナミの体には凹んだところがあった。それを合体させてみたら子どもが産まれた。
しかし最初に生まれた水蛭子(ひるこ)、不完全なヒルのように骨のない子であった。ふたりはこの水蛭子を葦の船に乗せて海に流した。その後、海に流した水蛭子は神話には登場しないが、民間信仰の間で蘇る。七福神の1人で漁業の神で福の神としても知られる恵比寿が水蛭子であるといわれている。
二番目の子も骨のない不完全な子であったため、葦の船に乗せて海に流した。神さまに相談したところ女性であるイザナミから声をかけたことがいけなかったとのことだったので、改めてイザナギから声をかえて子どもを作ってみた。そうしたところ、日本列島を形づくる大切な神々を生むことができた。
そうやって島々を生み出して国を作った二神はその後、山、海、風の神など30以上の神々を産んだが最後に火の神であるカグツチ(火之迦具土神)を産んだ際にイザナミは大ヤケドを負ってしまいそれが元で亡くなってしまった。
火の神カグツチを産んだ際に負ったヤケドの為に命を落としてしまったイザナミ。
愛する妻イザナミを失ったイザナギは悲しみのあまりカグツチを剣で切り殺してしまった。すると剣についた火の神の血が岩に飛び散り、そこから剣神タケミカヅチ(建御雷神)をはじめとする神々が生まれた。
火の誕生が鉄を鍛えて剣を作り上げることに繋がっている。そして剣の誕生により、たくさんの「死」を生み出してしまったことも物語っている。
妻にもう一度会いたいと願ったイザナギは死者の国である黄泉の国へと出向く。
しかし死者の国で出会ったイザナミは黄泉の国の食べ物を口にしてしまっていた。それにより体が腐敗していてとてもかつてのイザナミには見えなかった。恐れをなしたイザナギは逃げ出して、黄泉比良坂にある黄泉の国への入り口を千曳の岩で塞いでしまった。
これが有名なイザナギ、イザナミの『黄泉がえり』のエピソードだ。
またこのエピソードにソックリな神話が、世界中に存在する。代表的なものといえばギリシャ神話のオリフェウスの神話であるといえる。
このあとイザナギが行った死の国の穢れを落とすために行った禊により3人の子が産まれた。
左目を洗うとアマテラス(天照大御神)が、左目を洗うとツクヨミ(月読命)が、そして鼻を洗うとスサノオ(須佐之男命)が産まれた。それがのちに三貴子と呼ばれる三柱の神々だ。
アマテラスには天の高天原を、ツクヨミには夜の世界を、スサノオには海の全てを治めるように命じた。
素晴らしい子を得たイザナギはこの世の全ての統治権を三人の子に譲ると初めに作った島に幽宮を建てて隠居をした。
禊を行ったと伝わる「みそぎ池」は宮崎市にある阿波岐原ではないかといわれている。そして神社での参拝の際に手水舎(ちょうずしゃ)で手を清める習わしもイザナギが行った禊祓いが始まりといわれている。
イザナギが隠居をした幽宮というのが淡路島の『伊奘諾神社』の由縁である。淡路一宮として鎮座する神社として、現在まで続いている。
兵庫県淡路市多賀740
伊奘諾や伊邪那岐などと神社の御由緒書には記されている。日本の神々の始祖ともいえる神である。
伊奘冉や伊邪那美などと記されている。女性として、母親として祀られている神でもある。