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【嘘だろ!?】ネギトロの「ネギ」は葱じゃない!9割が知らない名前の由来と現代の正体

「ネギトロ丼」と聞くと、刻みネギとマグロのトロが乗った、口の中でとろける海鮮丼をイメージしますよね。

しかし、その名前の由来には、多くの人が勘違いしている衝撃の事実が隠されています。実は、本来の「ネギトロ」には、葱もトロも使われていなかったのです。

この記事では、ネギトロ丼の名前の真の由来から、なぜ現代のネギトロが広く愛されるようになったのか、その裏側に迫ります。

1. ネギトロ丼の名前の真実:「ねぎ取る」から「ネギトロ」へ

あなたが「ネギとトロの絶妙なコンビネーションが美味い!」と語っていたとしても、恥ずかしがる必要はありません。ほとんどの人がそう思っているからです。

しかし、本来のネギトロの語源は、調理法に由来する職人言葉でした。

語源はマグロを削ぎ取る動作「ねぎ取る」

ネギトロの原料は、マグロを三枚におろした後に残る、中落ちやすき身と呼ばれる部位です。中落ちはマグロの背骨の隙間に残った身、すき身は皮の裏側や骨周りなどに薄く残った脂身を指します。

これらは、包丁ではなくスプーンなどを使ってこそげ落とすように取っていました。当時の寿司職人は、この「こそげ取る」「削ぎ取る」という作業を**「ねぎる」、あるいは「ねぎ取る」**と呼んでいました。

この「ねぎ取る」という言葉が略され、語呂の良さから「ネギトロ」という商品名になったというのが、最も有力な説です。したがって、多くの人が連想する野菜の「葱(ねぎ)」は使われておらず、「トロ」も厳密には脂身のトロではなく、叩いた身がトロのように見えた、あるいは単なる語呂合わせだったとされています。

本来のネギトロは、**葱もトロも使っていない「ねぎって作った丼」**だったのです。

2. ネギトロの誕生秘話:もったいない精神が産んだ名品

ネギトロが生まれた背景には、日本の素晴らしい**「もったいない」精神**があります。

始まりは寿司屋の「まかない飯」

ネギトロは、戦後の日本で、東京・浅草にある寿司店などでまかない料理として誕生したと言われています。

マグロを捌いた後の残った中落ちや脂身は、品質は良いものの筋が多く、そのまま握り寿司には使えずに廃棄されていました。しかし、これらを叩いてペースト状にすれば、滑らかな食感になり、美味しく食べられることに気づいたのです。

廃棄されるはずだった部位を美味しく活用する知恵から生まれたネギトロは、やがて客にも提供されるようになり、大人気メニューへと進化していきました。正式にメニューに登場したのは、1960年代後半とされています。

派生した名前の別説

「ねぎ取る」説の他に、ネギトロ発祥の寿司店の社長が、浅草の有名なとろろ汁の店「麦とろ」の語呂合わせで「ネギトロ」と命名したというユニークな説も存在します。

3. 現代のネギトロ丼:「ねぎってない」ものが主流に?

ネギトロが全国的な人気を獲得するにつれて、マグロの中落ちだけでは供給が追いつかなくなり、その製法と原材料は変化しました。これが、あなたがコンビニや回転寿司で食べているネギトロの正体です。

一般的な「加工ネギトロ」の正体

現在、スーパーや回転寿司などで広く流通しているネギトロの多くは、必ずしも中落ちやすき身だけを使用しているわけではありません。

1980年代後半、あるメーカーが、マグロの赤身の切れ端などに植物油脂やショートニングといった油脂を混ぜて加工し、トロのような風味と滑らかな口当たりを持たせた製品を開発しました。

これにより、希少部位である中落ちを使わなくても、安定した価格と品質で、「トロ」に近い食感と風味のネギトロを大量生産することが可能になりました。

もはや「ねぎった(削ぎ取った)」身ではないため、これらは厳密には**「マグロのたたき」、または「油脂調整品」**として販売されています。

美味しさの追求が生んだ進化

この「加工ネギトロ」は、本来のネギトロとは別物かもしれませんが、手軽さ、価格、そして「とろける」美味しさが評価され、現代の日本の食卓に欠かせない存在となっています。

まとめ:ネギトロのウンチクは会話のタネに!

ネギトロ丼は、職人の「もったいない」精神と知恵から生まれた伝統的な料理です。

• 本来のネギトロは、「ねぎる(削ぎ取る)」ことに由来し、中落ち・すき身を使った希少な料理。

• 現代のネギトロは、マグロの赤身に油脂などを加え、トロの風味を再現した安価で安定供給される料理。

次にネギトロ丼を食べる際は、この豆知識を添えてみてください。きっと会話が盛り上がり、ネギトロ丼が二倍美味しく感じられるはずです!

kinsyachi

トヨタディーラーで10年営業マンを経験。 その後、現職である保険代理店へと転職。 ディーラーにいたからこそわかるお得な買い方を伝授します! 最近は神社仏閣めぐりに毎週のように出かけ、御朱印集めにはまってます。