死者の世界から地上に戻ったイザナギが死の穢れを落とす禊を行ったときに『アマテラス』『ツクヨミ』『スサノオ』の三柱の神を産んだ。三貴子ともいわれる尊い神々たちだ。
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アマテラスの前にも30以上もの神々を生みだしてきたイザナギとイザナミ。最後に産んだ火の神カグツチの炎により大火傷を負い、それが元で亡くなってしまったイザナミ。
そのイザナミを死者の世界から連れ戻そうとイザナギは向かったのだが、死者の国の食べ物を口にしてしまったイザナミは体が腐食してしまっていた。その姿を見て恐れをなしたイザナギは地上へと逃げ帰ってきた。
イザナギが死者の国の穢れを落とすために禊を行ったときに生まれたのがアマテラス、ツクヨミ、スサノオの三柱の神だ。
今まで生みだしてきた神々の中でも最も尊い子を得たと感じたイザナギは生まれたばかりの3人の子に世界の統治権を譲り渡した。
末弟スサノオには海の世界の全てを、ツクヨミには夜の世界の全てを、そしてアマテラスには昼の世界の全てとともに天上の神々の世界である高天原(たかまがはら)の統治権を譲った。
天を照らす神であるアマテラスの存在は皆を助け導くものであった。
地上の統治を孫のニニギに送り出すことを決めたり、子孫の神武天皇の立場がまずいことになったときなど、要所要所で重大な決断を下した。
また天岩戸のエピソードでもわかるように、隠れてしまうと世界が闇に包まれてさまざまな災いが起きると言われている。
ニニギが地上に降りたときにアマテラスは1枚の神鏡をもたせた。それを自分に見立てて大切に祀るよう言いきかせた。
その鏡こそのちの三種の神器である『八咫の鏡』である。
地上にもたらされた八咫鏡は長い間、歴代の天皇の御所などで祀られていた。しかし第10代天皇である崇神天皇は近くで祀るのは余りにも畏れおおいとして、相応しい場所を探し回った。その結果として選ばれたのが伊勢の地であった。
そしてそこに創建されたのが伊勢神宮である。
全国の神社の本宮として仰がれている伊勢神宮。神宮といえば伊勢神宮のことを指すように全ての神社からも特別な存在であると言われている。
あらゆる神棚でも中央には必ず伊勢神宮のお神札である神宮大麻を配することになっている。
一年365日全ての日に神事が行われている伊勢神宮には大小125社もの神社が鎮座する。
最も有名な神事としては20年に一度、内宮、外宮のすべての社殿を建て替える式年遷宮がある。
これは1200年前の持統天皇の時代から続いている伝統ある儀式である。