アメリカでは中間選挙が控えている。その影響でトランプ大統領は日本製や欧州製の自動車や自動車部品への関税を25%もの高関税をかける法案を検討すると発表した。いわゆる日本車25%問題だ。
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関税とは関所の税金という意味合いがある。
そもそも関税というのは自国の製品や産業を守るため、外国から入ってくる輸入品に対してどの国も保有している課税権である。
世界から国内へ入る農産品や工業製品に対し、輸入量を一定量以下にするために税率を高く課税したり、輸入量を調整するために数量統制をしたりと方法は様々である。
自動車への関税率はトラックや乗用車といった用途や排気量の大小により区分されている。
しかし25%もの高関税となれば、自動車一台当たりの税額は平均で約6,000ドル(日本円で約70万円)にもなる。
しかし自動車産業はいまやどこの国でも国内向け販売だけでなく海外への輸出の拡大ありきの流れで成長してきた。
したがって他国からの輸入品に関税をかければ自国からの輸出品にも高関税をかけられてしまい、結果として自国産業の衰退につながる。
これが、世界の自由貿易の常識となっている。
日本ではもちろんこの法案に反対です。
EU諸国もこの高関税政策には猛反発をしています。
二国間貿易やマルチ貿易(複数の国々での貿易)ではどちらかの国が高関税政策をとろうとしても他の国々の反発により発動できないのが常です。
しかし中間選挙を控えたトランプ大統領は、モノづくり産業がメインの州や反日感情が高い州での支持率上昇を狙って高関税政策を推し進めようとしています。
反対に高関税政策をとれば、アメリカの自動車も世界各国で高関税により割高になり販売が停滞するとの見込みもありトランプ大統領の政策に反対する米国メーカーもあります。
自動車本体だけでなく、自動車関連部品にも高関税がかけられることの影響も大きく出ています。
日本製品に高関税がかかれば、日本国内の部品メーカーのコストダウンした努力以上の価格上昇となり海外で部品が売れなくなってしまう。
それは逆を言えばアメリカ車の生産にも日本製の部品が多数使われているのでアメリカ車のコストも上がってしまい、アメリカ国内での販売にも影響が大きく及ぼされてしまう事を意味する。
事実、日系メーカーは米国での工場建設により多大な投資と数え切れないほどの雇用を生み出してきた。
そういった日系メーカーが多数立地している州知事などはトランプ大統領の政策に反対の意思を表明している。
日本政府も高関税対して高関税でやり返すといった貿易戦争は避けたい。
貿易戦争は経済が疲弊するだけで何も残らないということを過去の歴史が教えてくれているからだ。
日系メーカーの過去の投資や雇用の創出といった実績をアピールしつつ、高関税政策に対してノーを突きつけていくしか道はない。
我々が声をあげてもトランプ大統領に直接届くわけではないが、何とかして25%もの関所税ともいえる高関税政策がなくなることを願うばかりだ。