ナビの画面に表示される時計は狂わないのにダッシュボードのデジタル時計は数分狂う。電波時計にできない理由はあるのか?
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かつてはトヨタのシエンタが電波時計を採用していた。
2003年〜2015年にかけて販売していたNCP81G型の丸目ヘッドライトのモデルだ。
2003年に電波時計を採用したシエンタがデビューした時は、他の車種にもどんどん設定がひろがると思っていた。
そうなれば納車前点検での時計合わせが必要なくなって楽になるなぁと思ったものだ。
しかしその後は他の車種に採用されることはほとんどなかった。
時計を合わせなくても自動で時刻を補正してくれる時計のこと。
日本では兵庫県の明石市にある日本標準時に合わせた時刻のデータを電波で発信している。
この電波を西日本は九州で、東日本は福島から発信していて日本全国をカバーしている。
時計を手動で合わせなくてもいいので、大変便利ではあった。
いくつか理由はある。
もちろん全ての理由が当てはまるだろう。
しかし上記3番の理由のため普及しなかったのだろう。
海外の電波基地局の電波を受信しようとすると時計本体にGPSを内蔵するか、数時間おきに電波を受信するようにシステムを組まなければならない。
日本は国内での時差がない国なので、そのようなシステムは必要ない。
海外向けの正規輸出仕様であれば、その国に応じてのシステムを搭載すればいいだけの話だ。
しかし日本で国内向けに売られているクルマに海外向けの装備をつけてもコストが余計にかかるだけだ。
つまりいくら中古車が海外で高く売れるといってもメーカーがそこまでする必要もない。
海外で後から時計が狂うとクレームをつけられるくらいなら、最初から電波時計を採用しない方がよいとの判断となったわけだ。
ナビゲーションに内蔵されている時計は正確には電波時計でなく、軍事衛星からの位置データの中に含まれている時刻データを基にしている。
地上から飛ばす電波と宇宙から飛んできている衛星データの違いだ。
衛星からの時刻データも10万時間あたり誤差は1秒とほぼ正確な時刻を刻む。
以上のような経緯と事情で日本の大衆車には電波時計が普及しなかったわけだ。
日本国内だけで使う分には非常に便利な電波時計なので残念な話しだ。